「2025年VISION」を話そう2025年を目指して都筑製作所はどこへ向かうのか?プロジェクトメンバーが語ります。

2025年VISIONとは

都筑製作所の「2025年VISION」は、近い将来に会社のありたい姿を挑戦目標として具体的に描いた事業方針です。創業以来のQCD追究に基づいた量産技術をベースに、「材料メーカーとの共同開発」「素加工一貫」と事業を展開し、宇宙・航空機産業への進出を視野に入れた「開発・提案型」のものづくり会社への進化を目指しています。
2025年には「自社製品を開発するメーカーになる」=「都筑オリジナルブランドの確立」と、「ナックルAssy世界No.1メーカーになる」ことが最終的な目標です。
2017年には、社内各部門から1名ずつ計9名がプロジェクトメンバーとして参加する「NEXT TSUZUKI 2025プロジェクト」(NT2025プロジェクト)として体制を整えました。メンバーが中心となり、来る2025年に向けて加速度的にプロジェクトを推進しています。

プロジェクトメンバー

  • 代表取締役社長 栗田有樹
  • 丸子製造1課 吉池康彦
  • 資材課 小林恵二
  • 企画推進課 河西剛弥
  • 管理部 大村賢司

2025年VISIONの経緯

栗田

「2025年VISION」は、2015年に私が社長に就任した時の、これから都筑製作所をどうしていていくのかという思いから始まったものです。
1944年の創業以来およそ70年、先輩方が大変な苦労を積み重ねられて今の都筑製作所の姿があるのだと思っています。それは、HONDAとKOMATSUという主要な二大取引先があって、その信頼関係をもとに会社の堅固な基盤が築かれているという状態です。ただ、社会が大きく変化している現代にあっては、現在の状態をこれまでと同じようにずっと守っていくだけでは非常に厳しいのではと考えています。
これまでの延長線上でもやっていけないことはないのですが、それは、与えられたものを製造してお客様にお渡しするという業務を続けるということです。そこに都筑製作所ならではの「QCD」という付加価値はついていますが、やはり、自分たちで考えたものではないという点で足りない部分があると言えるでしょう。

小林

都筑製作所はものづくりの会社ではあるけれど、最終形を見ることができない部品を作っている。その点に私も以前からもの足りなさを感じていました。

吉池

それに、モノを作っているけれど自分たちで管理しているわけではなく、こういうものを作ってくれというのをそのまま出しているだけですよね。自分たちで「意思入れ」したものを作って出したいという思いは、社内にもあると思います。

栗田

自分たちで考えて製造した「都筑ブランド」の製品を世に出す。それは、自らの命運を自らの手でコントロールするということであり、また、自社ブランドを持つという夢があった方が、会社全体のモチベーションも絶対上がると思うんです。

河西

私は情報システム担当なので、ものづくりへの思いという点では皆さんとちょっと違うかもしれませんが、最初に社長のお話を聞いたとき、会社のトップが熱い胸の内を語るというのが初めてのことだったので、とても共感しました。

栗田

「2025年VISION」は、都筑製作所が何のために存在しているのかという創業以来の「社是」により近づくためでもあるんです。社是に基づいて「経営理念」があり、それを達成するための行動指針である「基本方針」を作りました。それをさらに具現化するためのものが「2025年VISION」という位置づけになります。

プロジェクト体制がスタート

栗田

NT2025プロジェクトのメンバーは私を入れて9名。このメンバーを選んだのは、まずは、10年後に活躍して当社を担ってくれているだろう人材だということです。各セクションから1名ずつ選びました。
勤評的な部分もありますが、それより、明るく前向きに取り組んでくれそうな人かどうかを重視しました。前人未踏の領域に踏み出していくプロジェクトですから、ひと転がり、ふた転がりするまではかなり苦しいことがあると思うんです。そこを明るく前向きに考えてもらえる人ということです。

大村

私たちはいわば「社内ベンチャー」だと思っています。NT2025プロジェクトは、失敗をいっぱいしてもいいというチャレンジャー精神で進めています。

栗田

今、進めている方向性がダメになったらまた別のことをやればいい。まずはいろいろやってみることが大事なんじゃないかな。
プロジェクト発足当初に、まずは各メンバーに開発したい商品を1案ずつ考えてもらいました。当社の強みとか弱みとかはひとまず置いておいて、夢でいいからということで。

河西

私は腰痛用ベルトの開発という案を考えたんです。自分が腰痛持ちなのでセンサー付きのコルセットがあればいいなという単純な発想でした。

大村

いくら夢を語れとはいっても、背伸びすれば届くかもしれないくらいじゃないと・・・ということで、河西さんの腰痛ベルトは却下されましたけどね(笑)。

河西

夢でいいからというから言ったのに(笑)。確かに当社にはセンサーの知見がないので、そこをゼロから始めるのはさすがに難しいね、ということで諦めました。

小林

それで、皆さんの案をマトリックス化して検討した結果、「何か動くものが作りたい」という共通点が見えてきたんです。

栗田

「何か動くもの」、つまり「小型モビリティ」と「ロボット」ですね。進むべき方向性が見えてきたところで、机上でいろいろ言っているよりも動き出したほうがいいということで、「Ene1-GP」(※)参戦となったんです。

※Ene1-GP:単三形充電池を動力源とした競技専用車両を自作して、タイムや順位を競う自動車レース。都筑製作所チームは、2017年11月25日のツインリンクもてぎ(栃木)の大会に参加。
公式サイト

Ene1-GPについて

吉池

モーターの大きさと速度の関係などといった基礎的なこともわかってない状態だったので、小型モビリティの基礎知識を得るためのいわば「教材」として、Ene1-GP参戦が選ばれたんです。

栗田

モーターやカウルの構造や、FRP(繊維強化プラスチック)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)といった金属以外の素材など、そういった知見を得るためには、実際に造ってみるのがいちばんですから。

吉池

プロジェクトメンバーだけで車体を製作したんです。例えばCFRPについて言えば、CFRPを扱っている会社を訪ねて実際に製造を経験したことで、得られたものは大きい。サイトなどで資料を読んだりするのと実際にやってみるのは大違いで、まさに百聞は一見に如かずでしたね。

大村

それまではCFRPはカーボンってことくらいしか知らなかったけど、素材を切り出すところからがっつり関わったので、一気に知見が広がりましたね。

小林

普段の業務ではまったくご縁のない企業とCFRPを通じてつながれた。CFRP関連の県内企業さんから一緒に何かやりましょうと言っていただいたり、いろいろな企業とのつながりが深まったのも収穫でしたね。

河西

私はモーターの担当でしたので、モーターの講習会などに通いました。どのくらいの電流を流せばどのくらいのスピードになるのか、電流と回転数の関係ですね、そういうものを学びました。モーターチームの役割は、電力消費の少ない効果的な走行をするためのモーター設定を考えることです。

大村

最初に出場経験がある学校の先生に話を聞きに行ったときは、「今からやるんですか?」と言われたものです(笑)。どこから教えればいいんだろうと思ったんでしょうね。

小林

2、3か月でみんなで苦労して作り、実際いざ走ったときの嬉しさといったらなかった。私はやっぱり「ものづくり」が好きなんだと再確認できました。
レース本番では「うちのマシン、遅いなー」と思いましたけどね(笑)。やっぱりドライバーが悪かったのかな。

河西

私がそのドライバーです(笑)。ドライバーはピットの指示どおりのスピードで走っていたんですよ。そうしたらものすごく遅くて。事前のデータよりも電力消費が激しかったので、電力消費を抑えての走行だったんです。

栗田

それで最後に巻き返そうと思った矢先にパンクして停まっちゃったんですよね。

河西

これ行けるねなんていうやり取りがあった直後、残り10分でのリタイアでした。

吉池

小林さんはよっぽど悔しかったんでしょうね、Ene1-GPからの帰りのクルマの中で、どうやったらもっと速くできるかをずっとスマホで調べてたましたもんね。前向きだなと思いましたよ。

栗田

小林さんは、ポジティブすぎるほどポジティブなキャラだからね。

プロジェクトの課題とこれから

栗田

走行結果は置いておくとして、今はEne1-GPに参加して得られたものを整理して、もう一回筋道をつけて、より具現化していくという段階です。レースでの知見が開発・提案型企業へという元来の目標とつながっているということ、2025年に向けてどういう意味があるのという点を、社内、社外に向けてしっかりと伝えていかなければと思っています。

大村

「2025年VISION」発表当時は、社内でも「本当にできるの?」みたいな雰囲気だったようですが、徐々に期待感に変わってきているのを肌で感じています。向かうべき方向が見えてきて、具体的な行動が始まったのが大きいと思います。

吉池

自分たちがやりたいこと、目指していることを具体的にイメージできるか。イメージすることで他人に伝えることも、自分がやらないことも見えてくると思います。

大村

課題というか今後進めていくにあたっては、環境づくりが大切ではないでしょうか。今回、車両を製作したのは社宅の一画だったのですが、ものづくりに環境は大きな要素です。本気で開発研究するなら、工場のスペースや機械は絶対に必要です。

河西

自社製品をつくるにあたっては、テストをしてデータを収集して、分析して解析するというプロセスが不可欠です。そのためのデータベースですとか、社内の通信環境やネットワーク環境の整備、分析に必要なツールなど、いろいろなものが必要になってきますね。

小林

資材課という面から言えば、何か新しい素材が必要になったときの手配先、一個だけ作るわけじゃなくて量産してビジネスにするという話ですから、手配先を確保していくということも必要になってきます。

吉池

確保といえば人の確保もそうです。プロジェクトの規模が大きくなっていったときに、本業が忙しいときにこのままの体制だと絶対に人手が足りなくなります。専門的なことができる人材を確保しておかないと、忙しいときにスケジュールどおりに進めることができません。

栗田

そのような体制や環境を整備するのが私の仕事だと思っています。研究開発に特化した新たなセクションとしてやっていきたいが、これまで社内になかったものなので、周りから「あの人たちはなにやってるんだ」と思われるような浮いた存在になっちゃいけない。開発部が全社に認知されるようマネージメントすることが大切なんです。

大村

うちには人も知見もそろっているなと改めて気づきました。都筑製作所が部署それぞれの強みを活かせば、かなりいいものが作れるんじゃないかという実感は共有できましたよね。

栗田

私自身が熱い思いを絶やしちゃいけない。そして、その思いを社内に向けて常に発信し続けるつもりです。
2025年VISIONは、開発・提案型企業になるということを目標に掲げていますが、その目標に向けて全社が一丸となって取り組むことで、会社の土壌を変えたいというのが、実は大きなテーマなんです。社内の土壌を変えていく副産物として自社ブランドが生まれてくれればいい。

河西

まずはその前に、Ene1-GP完走を目指したいです!