シャフト連載記事 vol.4 機械加工メーカーから見た、電動化に向けた次世代シャフト加工技術の提案『ラジアルフォージング(中空シャフト)編』

シャフト

シャフト連載記事 vol.4

今回で4回目の配信となります。今後も引き続き連載をさせて頂きたいと思いますので宜しくお願い致します。


都筑製作所は自動車足回り部品の製造を得意とする加工メーカーです。
昨今の自動車EV化の流れに合わせ、当社においてもローターシャフトについてのお問い合わせが大変多くなっています。


この記事では「シャフト」をテーマに定期的に加工技術情報についてご案内いたします。
連載4回目の今回は、『電動化に向けた次世代シャフトの提案』をテーマに 中空シャフトを題材としてラジアルフォージングをご紹介します。皆様の課題解決のお役に立ちましたら幸いです。


中空シャフト

中空シャフトとは内部を空洞化したシャフトで、当社では中実シャフトと区別するため中空シャフトと呼んでおります。


中空シャフトの優位性

  • 同寸法の中実シャフトに比べ圧倒的な軽量化が可能
  • 軸が空洞化されているため、中空部を利用し機能を持たせることが可能(モーターに活用した場合)
  • 慣性力を抑えられるため、モーターの起動や停止が容易になる
  • 電磁鋼板を含むシャフト全体の重量とコストが低減可能
  • 軸が空洞化されているため、冷却液を流すことが可能

中空シャフトの加工方法

パイプ材から削り出し

  • 求める内径がパイプ材内径に近い場合は、パイプ材を活用した方が加工工程を少なくできる

無垢材から削り出し

  • パイプ材が使えない場合、無垢の材料から中空部分を中ぐり等で削り出します

中空シャフトの新しい加工技術 ラジアルフォージング

中空シャフトの新しい加工技術|ラジアルフォージング|都筑製作所 (1).png

ラジアルフォージングの加工方法

  • 4ケのハンマーで製品の外周方向(Radial)から鍛造(Forging)する塑性加工
  • 内径に芯金(mandrel)を挿入し内径、外径を同時に成形できる
  • 熱間(1100~1250℃)、温間(600~850℃)、冷間(常温)どの温度帯でも鍛造が可能
  • ハンマーストロークが長い為、多段加工が1サイクルで可能
  • ハンマー、心金の金型がコンパクト

ラジアルフォージングの加工方法の概要

材質

  • 機械構造用鋼、非鉄金属(SUS304,SUS603等)

材料素材

  • プレス鍛造のブランク材を鍛造により成型します

中空シャフト|ラジアルフォージング|鋳造工程例|都筑製作所.jpg

ラジアルフォージングの加工精度

素材径

  • 熱間/温間 Max 120mm
  • 冷間 Max 80mmm

ワークサイズ

  • 外径:φ20~120(冷間80)mm、長さ:140~800mm重量、重量:10kg

鍛造精度

温間鍛造

  • 外径:±0.4 mm、内径:±0.3 mm

冷間鍛造

  • 外径:±0.15 mm、内径:±0.05 mm、SPL:IT-7級

軸方向位置

  • 外径:±1 mm

振れ

  • 内径:0.4 mm

伸び率

  • 最大変形率(延び) 6:1

強度

温間ラジアルフォージングの強度

  • 素材より:max 38%、熱間プレス鍛造より:max 20% の降伏強度が向上(当社調べ)

その他特徴

変形量や仕様に適した条件で加工可能

  • 熱間・温間加工ができることから厚肉シャフトやフランジが付いた形状でも加工可能
  • 部分温間加工で端部のみの増肉(アップセット)なども可能
  • 内径SPLなど精度が必要な部位に対しては冷間にて加工可能

1チャックで多段形状が成形可能

  • スウェージングのように複数設備を並べる必要がない
  • 段取り時間が少なく複数機種に対応可能

切削加工では不可能な内径形状が実現可能

  • 心金の形状がそのまま内径部に転写できる
  • 切削工具が入らない領域を空洞化できる
  • 圧接、溶接などを使わず複数部品構成を1部品で製作可能
  • 部位により肉厚の違うシャフトを製作可能

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次回の記事予定

「シャフト」をテーマに4回、加工技術情報についてご案内させて頂きました。皆様の課題解決のお役に立てて頂けたら幸いです。
次回より、当社が航空宇宙関連の部品加工で培ってきました「難削材の加工」について配信をさせて頂きます。ご期待ください。



都筑製作所ではシャフトの試作にお応えします

「試作開発・難削材加工でお困りの方」「量産での製造コストを改善したい方」はぜひご相談ください

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軽量モーターシャフト量産についてもぜひご相談ください

下記の課題にお応えいたします。

  • 軽量化を目的とした軸物(シャフト)中空化
  • 削加工部位を減らしコストダウン
  • 2部品構成を一体化して強度アップ
  • 軸物(シャフト)中空化により、内部に付加機能を持たせる

都筑製作所は複雑形状、高精度加工も得意領域です。
中空軸塑性加工設備の導入に合わせ、軽量化などの技術開発にも取り組み、仕様提案でお客様のソリューションに貢献いたします。軽量モーターシャフト量産について、次世代EV用ローターシャフト加工技術についてなど、ぜひお気軽にご相談ください。

シャフト・軸物の製造加工ソリューション

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